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    富田はすぐ又自分の方に話をひきとつた。

    房一は大きくうなづいて見せた。もう獲物は大分前からとまつていた。

    突然、練吉の顔には一種の生気が、何となくもう一人の練吉といつた風なものを思はせる疳の気配、子供染みた我儘さが顔にさし、あのひつきりのない目瞬またゝきが止んで、切れの長い目が眼鏡の奥でぢつと線を引いた。

    人に話しかけるときにも半分はきまつて独り言のやうになつてしまふ義母はどうもつれ合ひの道平の癖が丸うつりになつたものらしい。だが、道平の声音こわねはあまり響かないぽつりぽつり石ころを並べるやうな調子だつたのにひきかへ、この義母のは突拍子もなく起つて又駆足で空の向ふに消えてゆくやうな大声だつた。

    「あん」

    「何にしても、えらいこつてしたなあ」

    「よし。今行く」

    「さうですね。さつきからどうもさうらしいと思つていたんですが、失礼しました」

    「さうだよ、ジョン」

    別に会ふ気がなかつたから、と云ふ代りに、

    「ホリウチ?」

    「いゝかね。あんたの身体はどこも悪くない」

    「高間さんと云ふと、――ふむ、そんなら、わしとこの者もんが度々御厄介になつとる先生ですかな」

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